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2007年度研究内容

VPS-Hにおける透析中の血漿NOxと血圧変動

研究者
佐野 浩之医療法人社団 三思会 東邦病院 ME科
松村 昌樹医療法人社団 三思会 東邦病院 ME科
小川 浩司医療法人社団 三思会 東邦病院 ME科
阿佐見 ゆり江医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
清水 ちひろ医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
加家壁 健医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
小林 さつき医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
北原 徳之医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
阿部 由紀子医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
土田 晃靖医療法人社団 三思会 東邦病院 腎臓血液センター
宮田 茂雄星薬科大学 薬物治療学教室
亀井 淳三星薬科大学 薬物治療学教室
是本 昌英旭化成メディカル株式会社

キーワードビタミンE固定化膜、血圧低下、血漿中NOx

要旨

血液透析治療で透析中の酸化ストレス発生による弊害があることはよくいわれている。血漿中のNOxが血管拡張に作用する事、血液透析患者では血漿中NOxのレベルが健常人に比して高値である事などが報告されており、血漿中NOの血管拡張作用による急激な血圧低下が懸念されているが、その対策による詳細な改善報告は少ない。しかし、血液透析患者の血漿中NOxの存在量を透析前に抑える事、透析中のNO産生量を低下させる事などができれば、血中酸化ストレス除去・産生抑制による安定した血液透析が行えると考えられる。そこで今回、抗酸化作用のあるビタミンE固定化PS膜「VPS-H」を臨床にて使用し、血液透析中の酸化ストレスと血圧変動について検討した。対象患者は血液透析時の収縮期血圧が 終了時/開始前の比 0.7以下(血圧低下症例)の維持透析患者8名。

血圧変動の評価は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧、脈拍の測定を変更前0ヶ月から変更後6ヶ月間行った。血漿中NOxはVPS-H変更前0ヶ月のデータを取り、その後VPS-Hに変更し、変更後1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後のデータを比較検討した。血圧変動に関しては、変更2ヶ月後に収縮期血圧、拡張期血圧、脈圧とも60分から210分において有意な血圧低下の抑制が認められた(p<0.05)。

脈拍には特に有意な変化はみられなかつた。血漿中NOxは、変更前の前値の平均96± 71nmol/Lから使用後2ヶ月で透析前値の平均73± 58nmol/Lへ低下した。変更前は前値レベルに高低があったが、変更後は前値レベルの変化があり、8名中6名が健常人レベルに落ち着いた。また、変更前は、患者による透析中の血漿中NOxの変化にバラつきがあったが、変更後比較的バラつきも少なくほぼ同じ推移に収束する傾向が認められた。ビタミンE固定化PS膜「VPS-H」は、抗酸化作用により透析患者の血圧低下を軽減できる可能性があることが示唆された。

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