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2008年度研究内容

AGEsと糖尿病血管合併症

研究者
山岸 昌一久留米大学医学部内科学血管・心臓内科

要旨

糖尿病網膜症の病初期においては、pericyte lossが生じ細小血管を構成する周皮―内皮細胞連関が破綻して、血管新生、血栓傾向、内皮細胞障害がひきおこされ増殖網膜症へと進展していく。糖尿病状態で促進的に形成される終末糖化産物(AGEs)は、受容体であるRAGEを介して認識され、細胞内酸化ストレスの亢進をひきおこし周皮細胞のアポトーシスを惹起する。さらにAGEs‐ RAGE系は、血管内皮細胞にも直接的に作用してNADPHオキシダーゼに由来する酸化ストレスの産生を亢進させ、血管新生や血栓傾向、炎症をひきおこす。AGEs‐RAGEによってもたらされる血栓傾向は、網膜局所の虚血や低酸素を招き血管VEGFの産生を亢進させて、さらなる血管新生を誘導する可能性が考えられる。PEDFは、抗酸化活性を介してAGEsによる周皮細胞のアポトーシスを抑制するのみならず、VEGFやサイトカインの誘導を抑え、血管新生や血栓傾向、炎症反応に対しても保護的に作用する。PEDFの投与は、AGEs‐RAGE系による情報伝達経路を遮断することで、糖尿病網膜症の発症、進展、増悪を阻止できるかもしれない。

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