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2012年度研究内容

細胞増殖に関わるリン酸化・脱リン酸化の制御における
活性酸素種のシグナル伝達分子としての役割

研究者
藤井 順逸山形大学大学院医学系研究科 生化学分子生物学

キーワード活性酸素種 細胞増殖 細胞周期 チロシンリン酸化 Peroxiredoxin

要旨

酸化ストレスは様々な疾患や老化に関わるが、それには活性酸素種(ROS)のシグナル分子としての機能が関係し、増殖抑制と増殖促進といった正反対の効果をもたらす。増殖抑制については、細胞周期の制御を担うサイクリン-Cdkの活性を調節する脱リン酸化酵素Cdc25のROSによる活性阻害が原因の一つと考えられる。一方、増殖刺激した細胞ではROSを生成し、それが脱リン酸化酵素を阻害しリン酸化シグナルを持続させることで増殖の促進をもたらす。しかし増殖シグナルが強すぎると過度に増殖し癌化する危険があるため、ROSの量を適正に制御する必要がある。その役割を担うのは、新規抗酸化酵素でチオレドキシンを電子供与体とするPeroxiredoxin(Prx)であり、標的分子に結合し局所的に過酸化水素の量を調節している。 このようにROSが細胞増殖の抑制に働くか、それとも促進に働くかは、細胞内でのリン酸化-脱リン酸化酵素系の使い分けを反映していると考えられる。

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